アルミ樹脂複合サッシでも断熱性能は確保できる?|フレームとガラスの関係から考える

住宅の断熱性を考えるとき、多くの人が「樹脂サッシ一択!」と思いがちです。たしかに、フレーム全体が熱を伝えにくい素材で構成されている樹脂サッシは、断熱性に優れており、寒冷地では標準仕様になってきています。

一方で、「アルミ樹脂複合サッシは断熱性が劣るのでは?」と敬遠されるケースもあります。

でも本当にそうなのでしょうか?

実は、「Low-E複層ガラス+アルゴンガス封入」といった高性能なガラスを組み合わせることで、アルミ樹脂複合サッシでも十分な断熱性能は確保可能です。

この記事では、断熱性能を左右する「熱貫流率(U値)」の仕組みや、ガラスとフレームの関係から見た正しい窓選びについてわかりやすく解説します。


窓の断熱性能は「ガラス+フレーム」で決まる

断熱性能を測る指標に「熱貫流率(U値)」があります。
これは、「1平方メートルあたりでどれだけ熱が通り抜けるか」を表す数値で、数値が小さいほど断熱性が高いことを示します。

ここで重要なのが、U値はガラス部分だけでなく、フレーム部分の性能も合算して評価されるということです。

✔ U値の構成式(イメージ)

窓全体のU値 ≒ ガラスのU値 × ガラス面積比 + フレームのU値 × フレーム面積比

つまり、ガラスが高性能であれば、フレームが多少熱を通しやすくても、全体で十分な断熱性能を確保することが可能です。


実際の比較:樹脂サッシ vs アルミ樹脂複合サッシ

比較項目 樹脂サッシ アルミ樹脂複合サッシ
フレーム材質 全面樹脂 外側アルミ+内側樹脂
フレームのU値 約1.3~1.5 W/㎡K 約2.0~2.5 W/㎡K
ガラスのU値(Low-E+アルゴン) 約1.3~1.5 W/㎡K 約1.3~1.5 W/㎡K
窓全体のU値(目安) 約1.3~1.5 W/㎡K 約1.6~1.9 W/㎡K
デザイン性・強度 やや重厚・枠が太め スリムで洗練された印象

ご覧の通り、ガラス性能が同じなら、窓全体のU値の差は0.3〜0.5程度に収まります。
これは住宅全体の断熱性能(断熱等級やUA値)に大きな影響を与えないケースも多いです。


「断熱性」だけでは測れない、アルミ樹脂複合サッシの魅力

① スリムな枠でデザイン性が高い

アルミの強度を活かすことで枠を細くでき、ガラス面積を広く取れるため、デザイン性・採光性に優れています。

② コストパフォーマンスが良い

樹脂サッシよりも価格が抑えられ、施工性も高いため、コストと性能のバランスに優れた選択肢です。

③ 耐久性に優れる

外側にアルミを使っているため、紫外線や風雨による劣化に強いという特長もあります。


断熱性を確保するカギは「ガラスの選び方」

アルミ樹脂複合サッシを選ぶ場合でも、以下のような高性能ガラスを採用すれば断熱性能は十分確保できます。

  • Low-E複層ガラス(遮熱型 or 断熱型)

  • アルゴンガス封入

  • 樹脂スペーサー採用タイプ

これらを採用することで、U値1.6以下を達成することも可能です。


【結論】断熱住宅にアルミ樹脂複合サッシは“アリ”です

「アルミが入っているから断熱性能が悪い」と考えるのは少し古い感覚かもしれません。
ガラス性能の進化と複合構造の工夫によって、現在のアルミ樹脂複合サッシは“高性能ガラスとの組み合わせ次第”で十分な断熱性が得られます。

特に以下のようなケースでは、有力な選択肢になります:

  • 温暖地域(関東以西)

  • 明るさやデザインを重視したい住宅

  • コストバランスを取りたいケース

逆に、北海道や東北地方など極寒地では、引き続き全面樹脂サッシ+トリプルガラスが理想的です。


最後に|窓は「住宅全体の設計」とセットで考えるべき

断熱性能を最大化するには、「窓単体の性能」よりも、**住宅全体の断熱設計とのバランス(UA値や断熱等級)**が重要です。

サッシやガラス選びはその中の一部に過ぎません。
「住宅全体として最適な断熱仕様は何か?」という視点を忘れず、性能・コスト・デザインのバランスを見ながら、最適な窓を選んでいきましょう。

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