家を建てようと思ったとき、多くの人が「できるだけ良い家にしたい」と考えるものです。広さ、設備、立地、デザイン……理想を追えばキリがありません。でも、少し立ち止まって考えてみてください。
本当に、それだけが「良い家」なのでしょうか?
今あるものに目を向け、それを「十分」と感じること。
それが、古くから伝わる知恵 「足るを知る」 という考え方です。
「足るを知る」とは?
この言葉は、中国の古典『老子』にある
「知足者富(足るを知る者は富む)」
という教えに由来しています。
つまり、「満ち足りていると感じられる人こそが、本当の意味で豊かだ」という意味です。
私たちは常に「もっといい暮らし」「もっと便利なもの」を求めがちですが、どこまで手に入れても、満足を感じられなければ、それは「豊かさ」とは言えません。
家づくりにも通じる「足るを知る」
家を建てるとき、欲しいものをすべて詰め込むと、予算が膨らみ、維持管理の手間も増えます。一方で、「自分たちにとって本当に必要なものは何か?」という視点で見つめ直すと、無駄のない、ちょうどよい暮らしが見えてきます。
たとえばこんな考え方:
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大きな家よりも、掃除しやすくて落ち着くサイズ感
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最新設備よりも、手入れしながら長く使えるもの
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高級素材よりも、肌に馴染む自然素材
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駅近よりも、静かな環境で心穏やかに過ごせる場所
こうした選択は、見た目の豪華さではなく、「暮らしやすさ」や「自分に合ったペース」を大切にする、本質的な家づくりへとつながります。
シンプルな暮らしの中にある豊かさ
「足るを知る」ことは、決して我慢をすることではありません。
むしろ、今あるものをじっくり味わい、大切にする心を育むことです。
庭に咲く季節の花や、毎朝淹れる一杯のコーヒー、家族と交わす何気ない会話。
こうしたささやかな日常に目を向けると、豪華な設備や広い家でなくても、心が満たされていることに気づきます。
「ないもの」ではなく、「あるもの」に目を向けて
現代の社会は「足りないもの」に目を向けさせようとします。
ですが、「足るを知る」という視点を持つと、自分の暮らしの中にすでにある豊かさや喜びに気づくことができます。
それは、家づくりにおいても同じです。
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家が広くなくても、心地よい風が抜ける窓がある。
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豪華なキッチンでなくても、毎日の食卓を囲む喜びがある。
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高価なインテリアがなくても、家族の笑顔がある。
最後に
家を建てるとは、ただのモノづくりではありません。
それは、どう暮らしたいかを形にする行為です。
だからこそ今一度、こう問いかけてみてください。
何のために家を建てるのか。
なぜ自分は家を必要としているのか。
その原点に立ち返ることで、本当に大切なものが見えてくるはずです。
「足るを知る」心を持って、自分らしい暮らしを形にしてみませんか?
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