性能だけじゃない、暮らしのリアルな選び方
私はかつて、一条工務店で現場監督をしていました。
日々、多くの家の施工現場に立ち会い、
多くのお施主様の家づくりを見届けてきました。
住宅性能の高さには確かな自信があります。
全館床暖房・高気密高断熱・太陽光発電など、
“住んでから快適さを実感できる家”を実現するノウハウが、そこにはありました。
■ ただし、性能を求めすぎると家は高くなる
施工管理の現場にいたからこそ感じたこと。
それは、性能を突き詰めるほど家は高額になっていくという現実です。
-
いい断熱材を使えば当然コストアップ
-
設備をグレードアップすれば、さらに上乗せ
-
そしてこだわりが多いほど、打ち合わせも増え、工期も長くなる
気がつけば、理想を実現するために予算をどんどん超えてしまう。
時には、「あきらめ」や「妥協」も必要になる家づくりを、何度も見てきました。
■ 自分が家を買うとき、選んだのは「規格住宅」
そんな私がいざ自分の家を持つとき、
選んだのは、あえての性能重視の建売住宅でした。
ポイントは、
-
必要な基本性能(断熱・耐震)は確保されている
-
コストはしっかり抑えられている
-
そして、自分の手でアレンジできる“余白”がある
間取りも決まっていて、設備も標準仕様。
でも、それが逆に「いい」と思えたんです。
■ DIYで家を自分らしく育てていく
私は、住み始めてから少しずつ手を加えています。
-
キッチン横にカウンターを取り付け
-
棚や収納を自作して、使いやすくアレンジ
-
ウッドデッキや壁面収納もDIYで施工
最初から理想を詰め込むのではなく、暮らしながら必要なものを追加していく。
これが、私にとっては理想の家づくりのカタチでした。
■ 現場監督だからこそ分かる、“ちょうどいい家”の魅力
現場で数多くの家を見てきた経験から言えること。
家は、性能だけで決まるものではないということ。
どれだけ性能が高くても、
「この棚、あと5cm短ければ…」というような小さなストレスはある。
逆に、シンプルな家でも、自分で手を加えられる楽しさがあると、暮らしながら実感しています。
■ まとめ:完成された家より、“育てられる家”
高性能な家もいい。自由設計もいい。
でも今の時代、建物価格はどんどん上がっていく。
だから私は、
「性能は必要十分に」
「あとは自分の手で暮らしを仕上げていく」
そんな家の選び方が、もっと広がってもいいと思っています。
家は、完成された商品ではなく、暮らしの器。
手を加えるたびに、家への愛着が深まっていく。
元・一条工務店の現場監督として、そして今は一生活者として、
私はこの暮らし方に大きな満足を感じています。
コメント